Column 001-1 乳酸菌は本当に効果があるのか?

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乳酸菌とは何か?

乳酸菌は、細菌の一種です。

細菌以外にも微生物は何種類かあります。

乳酸菌は、生命活動の結果、乳酸を産生するので、その名前がついています。

我々が、生命活動の結果、二酸化炭素を産生するのと似たようなイメージです。

自然界にひろく存在しており、その一部は、腸に生息しています。

生命活動には、糖、アミノ酸、ビタミンB、ミネラルなどを必要とします。

ということで、我々は、栄養素の一部を乳酸菌に分け与えて、乳酸菌を飼っているようなイメージです。

腸には様々な細菌がおり、乳酸菌は、乳酸菌以外の細菌と互いに影響しあいながら、良くも悪くも、腸の環境を維持しています。

乳酸菌の種類

生息場所は、主に、腸管、動物タンパク質由来、植物タンパク質由来、海の4か所です。

細菌の種類を考えるとき、その系統樹をイメージすると良さそうです。

ラクトバシラス目

目(もく)というのは分類の方法なわけですが、

まず、生物(せいぶつ)の定義からはじめてみましょう。

生物の定義

生物の定義には実は諸説あって、若干のぶれがあります。

本HPでは、生物の定義を、

「自己増殖能力、代謝能力、細胞で構成されている」、あるいは、これらを必ずしも満たさないが、「別の細胞の存在下限定ではあっても、自己複製が可能である」

ような存在とします。

後者は、ウイルスとリケッチアを指しています。

真核生物と原核生物の定義

生物は、ウイルス以外は細胞を必ず有しています。

細胞の中に、「細胞核」および「核膜」を有している生物を、真核生物と呼んでいます。

細胞核および核膜を有していない生物は、原核生物といいます。

原核生物は、確かに細胞核および核膜を有していませんが、DNAを有しているので、増殖したり、突然変異したりすることが可能で、生物の定義として何ら問題はありません。

原核生物と真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)の話

原核生物は、

Capsule:莢膜

Cell wall:細胞壁

Plasma membrane:細胞膜

Cytoplasm:細胞質

Ribosome:リボソーム

Plasmid:プラスミド

Pili:性絨毛

Bacterial flagellum:真正細菌鞭毛

Nucleoid(circular DNA):核様体

から成り立ちます(必ずしもすべてを含むとは限りません)。

 

さて、原核生物は「真正細菌」と「古細菌」に分けられます。

古細菌と真正細菌の最大の違い

sn-グリセロール1-リン酸のイソプレノイドエーテルから細胞膜が構成されているのが、古細菌の最大の特徴です。

ちなみにグリセロールは、通称グリセリンともよび、3価のアルコールです。

3価のアルコールというのは、-OHが3つ、アルキル基(炭素原子が連なった構造物)にくっついた物質の総称です。

1:グリセロールと炭化水素が全てエーテル結合(C-O-Cなどの真っ直ぐなO結合)であること

2:炭化水素鎖がイソプレン鎖のみで構成されていること(古細菌以外は、炭化水素鎖は、イソプレン鎖ではなく、脂肪酸鎖となっている)

3:グリセロール骨格が立体的にグリセロール1-リン酸(古細菌以外は、グリセロール3-リン酸)であること

が主な大きな特徴となっています。

特に、sn-グリセロール1-リン酸型脂質を細胞膜に有しているような生物は古細菌以外には全く発見されていませんので、生物の中で相当に稀有な脂質です。

古細菌の主な特徴

古細菌は、マニアックな生物分類にも思えますが、実は、3ドメイン説という

生物の分類の一方式によれば、

「真核生物ドメイン」「真正細菌ドメイン」にならんで、

「古細菌ドメイン」を構成するほどの存在感のある分類です。

古いという名前はついていますが、いろいろと分析してみると、DNAやタンパク質の合成については、真正細菌よりも真核生物(我々)に、むしろ近いという意見もあって、とても興味深い生物です。

具体的には、温泉などの過酷な環境に生息するような古細菌や、メタンを利用して生きるメタン菌とよばれる古細菌が有名です。

実は、牛の胃袋には、メタン菌が存在することが確認されており、動物と古細菌は、必ずしも無関係ではありません。

ただ、一般的に、古細菌に病原性があるという報告は無く、その研究は、病原性がありうる真正細菌ほどは進んでいません。

とはいえ、古細菌を利用して我々にとって有用な代謝(発酵)ができないかどうか、研究が進んでいるところです。

アーキア?古細菌?後生細菌?

実は、研究当初の思惑とは違い、古細菌は、別に、古い細菌ではないことがわかってきましたが、名前の定着がすすんでいることから、今もわりと古細菌という名前がよく使われています。

実際は、アーキアと呼ぶべきだ、あるいは、後生細菌と呼ぶべきだという声もあがっており、今後は、呼び方が変わるかもしれません。

古細菌という分類がなんとなくピンとこないワケ

これは、研究者の間でも同じことで、

確かに、分析すれば、グリセロールの立体構造が異なるという決定的な違いがあるものの、細胞の構成要素は、真正細菌とあまり変わらず、

一部の研究者が、rRNAなどの塩基配列が異なることを理由に、異なる生物分類だと提唱したところで、自然に受け入れられないというのは、我々にもなんとなく理解できます。

真正細菌とは?

古細菌を知ることで、すっきりと真正細菌が理解できます。

原核生物のうち、古細菌ではないものを指します。

その形から、球菌、桿菌、ラセン菌に主に分けられます。

特に、真正細菌の大きな特徴として、細胞壁をもつことがあります。

もちろん、同じ原核生物である古細菌(アーキア)も細胞壁をもっていますが、

真正細菌の細胞壁は主にペプチドグリカンという物質から構成されており、ペプチドグリカンの中でも、ムレインという物質が主な構成要素であるのに対し、

アーキアの細胞壁は、同じペプチドグリカンでも、(一部ムレインを含むのですが)シュードムレインという亜種を主に含んでいます。

この、ほんの少しの違いによって、ムレインを破壊できるペニシリンやバンコマイシンなどの抗生物質が、アーキアのシュードムレインを破壊しにくい(すなわち、アーキア自体も破壊されにくい)、といった違いもでてきます。

ムレイン?

ムレインは、糖鎖であるグリカン鎖と、

テトラペプチド鎖からなります。

N-アセチルムラミン酸にはカルボキシル基がありますので、

L-アラニンの-NHとアミド結合が可能です。

また、D-アラニンと隣接するメソジアミノピメリン酸の-NHもやはりペプチド結合か可能です。

結局、グリカン鎖が平行に並び、グリカン鎖どうしをテトラペプチドが結合するのですが、

このテトラペプチド同士も、やはり強固に結合していることになりますので、

一部の生物の細胞膜や細胞壁の構成要素であるムレインは、その結合をたいへん強力なものにするのに都合が良いのです。

グリカン鎖

アセチル基はCH3CO-と、酢酸からヒドロキシ基を取り除いたものです。

N-アセチルグルコサミンとは、グルコサミン(グルコースアミン)のNの部分にアセチル基が結合したものを指します。

グルコースとは、代表的な単糖の一つです。

さて、N-アセチルムラミン酸とは、N-アセチルグルコサミンの3番目の炭素(6角形唯一のOから時計回りに、炭素原子を1,2,3~6を数えます)にくっついた-OHを、

-O-C(CH3)(COOH)と変換したものです。

この、N-アセチルグルコサミンとN-アセチルムラミン酸が交互にβ(1→4)結合している糖鎖をグリカン鎖とよびます。この1→4というのは、上述の炭素番号のことです。

テトラペプチド鎖

名前の通り、4つのアミノ酸がペプチド結合したもので、

主に、L-アラニン、D-グルタミン酸、メソジアミノピメリン酸(リシンの端に-COOHがくっついたアミノ酸。直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸であるピメリン酸にアミノ基が2つくっついた構造ともいえます。)、D-アラニンの4つです(例外あり)。

D/L表記法

手と同じで、立体にはどうやっても重ねられない、鏡でうつした2タイプがあります。

それを通常、L-~~とかD-~~とか呼びます。

構造は同じでも、全く形は違う(右手と左手が違うのと同じように)ので、生体内での働きも一部異なってきます。

一般的に、身体のアミノ酸はほとんどが(なぜか)L体となっており、そうでない方をD体としてきました。ただ、D体は、近年の研究で、それなりに存在しており、何らかの役割があることもわかっています。

こういった表記をD/L表記法とよんでおり、IUPAC命名法に基づいて化合物の立体的な配置を表すために使われます。

dextro-rotatory(右旋性)、levo-rotatory(左旋性)の頭文字をとっています。

dextro右やlevo左はギリシャ語が語源です。

キラル(どうやっても鏡像が重ね合わせできない)な分子についてはDLで表記できます。

実は、上述の右手と左手は、もちろん、立体的にはキラルな分子と同じく、違うものなのですが、重ね合わせることができます。これは、アキラルachralといいます。

アミノ酸などは、キラルです。

 

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